大学進学に向けた親子のマネーコミュニケーション
2025/10/29 学費
子どもが大学へ進学することが決まると、保護者としては進学費用のことも考えなければなりません。
保護者としては子どもの進学を応援したくてもそこに立ちはだかる費用の壁はかなり高いものです。
自宅から国公立大学へ4年間通ってもざっと500万円。
下宿して私立大学へ進学するとなるとその金額は倍以上になります。
子どもの進学先を決めるためには、お金の話を含めたコミュニケーション(マネーコミュニケーション)が必要になってきます。
目次
子どもとお金の話ができていますか?

ある高校での話
以前、高等学校の家庭科の先生と話す機会がありました。
その高校はほとんどの生徒が大学に進学するいわゆる「進学校」でしたので、ある時その先生は、4つの課題を出しました。
➀大学へ進学するには百万単位のお金が必要になりますが、そのお金は家にはありますか。
②逆に借金はありますか。
③この2つの質問をした時の保護者の反応はどうでしたか。
④この課題を通してあなたが感じたことは?
結果は、半数以上の保護者が回答拒否だったそうです。
驚きを持ってその先生は私にアンケートを見せてくださいました。(もちろん個人情報は伏せたものです)
≪ネガティブな保護者の反応≫
・軽くキレられた。
・怒った。
・無反応だった。
・教えてくれなかった。
・「どうやろうね」と言われただけ。
≪それに対する子どもの感想≫
・何を聞いても適当にはぐらかされた。
・なにもわからなかった。
・家には全然お金がないということがわかった。悲しかった。
・結論。お金の話は極力すべきではない!以上。
《ポジティブに答えてくれた保護者を持つ生徒の感想》
・こんなにも大学のお金が高いので、親に心配するなと言われても心配してしまった。家の値段が想像以上に高かったので、払いきった親はすごいと思った。自分の将来についてもそろそろ考えていきたいと思った。
・話をごまかさずに教えてくれたのでよかった。
・家のことについて知るとてもいいきっかけになりました。私は自分の家の家計状況についてなど、あまり深く考えたことがなく、たくさんの無駄づかいをしていたなと反省させられました。今回のことをきっかけに生活を見直したいと思います。
・大学にはなんとか行けそうなのでよかったです。きちんとお金のことについては教えてくれるので、信頼してくれている感じがしてうれしかった。
・兄、姉が2人とも大学生で、一人暮らしをしているけれど、家のローン等を考えると、一体いくらお金を出費しているんだ!?と思った。母が私立なら自宅から通えるところじゃないとダメという意味がすごくわかった。
・初めて聞くことばかりだったけど、思ったよりすんなり答えてくれて驚きました。また、自分が家のローンの金額や家賃なのかローンなのかということを全く知らないことに気づき、もっと関心を持とうと思いました。大学の入学に必要なお金がこんなにもかかると知って、とても驚いたけど、親に聞いたらきちんと準備していると言われたので、少し安心しました。私のために一生懸命働いて、お金を稼いでくれていると強く感じたので、もっと感謝しなければいけないと思いました。
・奨学金や学部によるお金や家のローンや収入について教えてくれた。自分にはなじみのないような額のお金がかかることもわかり、浪人をすると予備校などでもお金がたくさんかかることがわかった。ありがたみを感じながら真面目に勉強して大学に向かってがんばりたい。
子どもとお金の話をする効果
いかがでしょうか。子どもとお金の話をする効果を感じていただけたのではないかと思います。
日常生活でお金の話をきっかけにいくらでも会話はふくらみます。保護者にわからないことがあってもかまいません。一緒に調べてみれば親子ともども学ぶ機会になります。
お金の話を日常的によくしている家族とそうでない家族は、介護や相続の場面など、家族で必ずお金の話をしないといけない局面で、大きな違いを生むということも仕事をしながら実感しています。大事な場面でお金の話がうまくできずに、家族がバラバラになるという話も少なくありません。それはとても残念なことです。
子どもの大学進学をきっかけに親子でマネーコミュニケーションを始めましょう。きっと人生が好転しますよ。

親子のマネーカウンセラー 鶴田明子



