教育費と子どもの自立
2020/05/08 学費
子ども一人にかかる教育費は教育機関に支払う分だけでも一人当たり500万円から1000万円。きょうだいがいればその分支出は倍増する。
では、このお金を支払う目的はなんだろうか。
目次
子どもにかかるお金
子ども一人を育てるのにかかる教育費。学校に支払うお金だけでも500万円から1,000万円。私立の学校であれば、さらに500万円から1,000万円上乗せになる。
生活費(食費・被服費・娯楽費他)を計算に入れなくてもかなりの金額。
さらにおけいこや塾やスポーツクラブなどに通わせるとその金額はどんどん膨らむ。
ベネッセ教育総合研究所の2017年データによると、3歳から高校3年生までの学校外教育費(※1)は、1ヶ月当たり平均で14,700円。16年間では約280万円だ。
(※1 スポーツ活動、芸術活動、家庭学習活動、教室学習活動費用)
中学校や高等学校の部活動にかかる費用もばかにならない。ユニフォーム、道具、遠征費など、出費は膨らむ一方だ。
さらに、高校卒業後、県外の学校に進学し一人暮らしするとその生活費だけで約500万円(4年間)になる。
教育費は何との交換?
お金とは?という質問に対する答えの一つに「価値との交換」というのがある。
自分にとって価値のあるものと交換する。モノや情報や経験など自分の価値観に沿ったものと交換するためにお金を使う。
さて、この数千万円かかる教育費はいったい何と交換するために支払うのだろうか。
それは、子どもの自立との交換だろう。(自分たちの老後のお世話との交換ではありません。)
子育てをしている保護者の方に話をさせてもらう機会があるが、「自立させる」ということを意識して子育てをしている人は案外少ない。親と子の関係は終わりなく続くが、いつまでも子どもは自分が育て、導いていくものだと思っていると何歳になっても手を出し口を出してしまう。結婚してからもそれが続くと、関係はどんどん悪化してしまう。
子育ての目的は自立させること。いつかは保護者の手を離れ、自分の頭で考え、選択、決断、行動し、自分の人生を責任を持って生きていくよう促していくことが肝心だ。
自立のために必要な「選択する力」
自立した人になるための大事な要素の一つは「選択する力」。それは意識して子どもにその機会を作らなければなかなか身につかないことでもある。
少子化の今の時代は大人の管理が行き届きすぎていて、子どもの選択力が落ちているのではないだろうか。
おけいこ事や塾や部活をどうするのかを大人が先回りしてさせたり、やめさせたりしていないだろうか。子どもに関わることは子どもに選択させることが何より大切だ。
内閣府が行った調査によると、15歳から65歳までの引きこもりの人数が100万人をこえているとのこと。本人はもちろん、この国にとっても大きな損失だ。
「お金を出しているのは親なんだから、ちゃんと言うことを聞きなさい。」
「せっかくやり始めたことは、最後までやり通さなければだめだ。」
「中学生になったんだから、部活は必ずやりなさい。」
こんな言葉でこどもの選択力を奪ってはいけません。
自立しないまま老後を迎えるような大人にならないよう、保護者の教育も必要な時代だと私は感じている。
親子のマネーカウンセラー 鶴田明子