教育資金と老後のお金~必要額を正しく把握する~
2020/02/17 学費
『エンジェル係数』が増えていく
子どもの成長と共に、子どもにかかるお金が家計に締める割合『エンジェル係数』も増えていきます。特に高校卒業後に必要なお金は短期間で高額になり、保護者は大変です。
国立大学に通った場合、学費が約300万円、下宿をすればプラス500万円、私立大学だと学費が多くなる分、合計で1,000万円を超えるでしょう。きょうだいがいれば人数分、増えていきます。
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親の老後も迫っています
一方、子どもを高校生まで育てた保護者は40代から50代。産んだのが遅ければ、60代に突入しているかもしれません。自分の老後を真剣に考え始める時期でもあるのです。
最近、厚生年金をもらえる夫婦でも「老後の生活費が2,000万円不足」というニュースをきっかけに、漠然と抱いていた不安が、現実的な数字として迫ってくるように感じている人も多いでしょう。
子どもにかかる500万から1,000万円は、使わなければ老後の生活費になり得るものです。子どもの自立と老後の自分たちの自立のため、シミュレーションを行ってそれぞれの必要額を見極めなければなりません。
現在の預貯金、今後の収入の予想、年金額の確認、老後を暮らすために必要な家計費の概算などを考えあわせた上で、その子にいくらまで出せるのかを落ち着いて計算する必要があるのです。
子どもに多くのお金を使いすぎ、子どもが自立した後に親の老後資金が底をついたら、逆に子どもの援助を求めることになって本末転倒です。
教育資金をめぐる親子のトラブル
教育費が足りないことでこんなトラブルがおこります。「これだけしかお金がないのだから、自宅から通える〇〇大学にしなさい。」子どもの反発は目にみえています。ここは工夫が必要です。
お金の問題は保護者の問題ですが、進路選択は子どもの問題です。「あなたのために準備できるお金はこれだけです。この範囲内であなたが良いと思う学校を選択してね。もし費用がもっとかかるなら、何かいい方法はないか、一緒に考えましょう」。お互いの立場を尊重し、最大限の注意を払って意思疎通を図ることは、お金に限らず家族の多くの問題を解決するカギとなるでしょう。
親子のマネーカウンセラー 鶴田明子